恋愛セミナー4【夕顔】第四帖 <夕顔 ゆうがお> あらすじ源氏は六条の御息所(ろくじょうのみやすどころ)という身分高く、美しい女性のところに通い始めました。六条へ通う途中の五条には源氏の乳母の家があり、病気になったと聞いて立ち寄ることにしました。乳母の家の隣には粗末な家があり、そこに白い夕顔の花が咲いていたのを目にとめたところから、源氏とその家の女主・夕顔(ゆうがお)との付き合いが始まります。 どうやら夕顔は頭の中将が話していた中流階級の女性のようです。源氏が身分を隠し、顔も覆面をして通っているのを不審に思いながらも夕顔はやさしくむかえます。頼りなげなその姿に源氏は狂おしいまでに惹かれ、六条へはめったに通わなくなります。 源氏は二条にある自分の住まいに夕顔を迎えたいと、手始めに近くにある荒れ果てた屋敷に夕顔を連れ出します。そこで源氏は生霊が夕顔に手をかける夢をありありとみてしまいます。驚いて起きた源氏は夕顔が本当に亡くなってしまったのを知り、悲しみにくれるのでした。 しばらく寝込んでしまった源氏に、夕顔はやはり頭の中将の話していた女性だったとおつきの右近は伝えます。夕顔には小さな女の子どもがいると聞き源氏は引き取ろうとするのですが、五条の家はすでに誰もいなくなっていました。 その頃、空蝉の夫伊予の介が任地から京に帰り、源氏に挨拶に来たおりに「娘(軒端の荻)は結婚させ、妻は伊予に連れてゆく。」と話しました。源氏は伊予へ向う空蝉にたくさんの贈り物をし、あの衣を歌とともに返しました。 光ありと見し夕顔の上露はたそかれどきのそら目なりけり(夕顔) 恋愛セミナー その4 誘拐あり、生霊ありと、極彩色の帖です。 1 源氏と六条の御息所 一方は冷め、一方は執着している。 2 源氏と夕顔 どうしようもなく女に惹かれてしまう男。 3 源氏と空蝉 関係がひとつめの結末をむかえる。 4 伊予の介と空蝉 年の離れた夫婦。 5 源氏と伊予の介 主従関係。 夕顔は頼りなげに見えて非常に魅惑的な女ですね。上に載せた歌は、覆面をとった源氏が「わたしの顔,どう?」ときいたときに「たいしたことないわ。」とさらっと返したものです。源氏と頭の中将という物語の中でもっともいい男を二人までも虜にした夕顔の魅力。しかも桐壺の更衣と同じく、この世をたち去ってしまう。印象は強烈。しかも娘という取りに戻れない置き土産もあります。 一方、身分高く美しい六条の御息所は、すっかりないがしろにされてしまいます。手に入れた途端、冷めてしまった源氏。 身分が高くなければ軒端の荻のように捨ててしまったかもしれません。 物語がすすむにつれ、生霊が誰なのかも明らかになってゆきます。 ところで、伊予の介と空蝉、留守のあいだの妻の変化に夫は気づいたのでしょうか? 伊予の介はやや老けているとはいえ、意外に端正な男。源氏は浮気相手の夫を前にいたたまれない気持ちになります。 この瞬間、主従の力関係は逆転しているようにみえます。 空蝉の置き土産である衣を手放すことで、関係にひとつの区切りをつけることのできた若き日の源氏。 たくさんの恋愛の中で、数少ない源氏からのRerease。 このことでかえって空蝉は源氏に対して心をひらくのです。 ずっと後の巻で、夕顔の忘れ形見である成長した娘に、壮年になった源氏は非常に執着します。 手放すことを忘れてしまったとき、幸せなのか美しいのか、このヒーローをじっくり観察してみてください。 ***日記に同じ内容が掲載されています。必ずお返事いたしますので、 よろしかったら日記にコメントいただけるとうれしゅうございます。 よろしくお願いいたします。*** ジャンル別一覧
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